目黒区では「住み慣れた地域で高齢者や子ども、障害者など誰もが安心して暮らし続けられる街」
を目指し、見守りネットワーク(見守りめぐねっと)を推進しています。
今回は、東急大井町線 大岡山駅から程近く。環状七号線沿いにある「配食のふれ愛 目黒店」
店長 松葉さんに話を伺いました。
※以下、松葉さん(店)・聞き手の包括職員(包)
(包) 昨年は『見守りめぐねっと』への新規登録、有難うございました。本日はまず松葉さんご自身
について伺いたいと思います。配食サービスを始めたきっかけをお聞かせください。
(店) 以前は中学や高校の英語の教師などをしていました。転身の一番のきっかけは妻が訪問看護の
仕事をしていたことでしょうか。業界について調べていく内に、社会的意義の高い仕事であると
思ったと同時に、高齢社会における配食サービス事業に成長の可能性を感じました。
(包) それは珍しい転職ですね!でも、「英語のできる配食弁当屋さん」は外国籍の居住者も多い
目黒区内ではニーズも高そうですね。
お店では、高齢者の方に重宝されているサービスを行っている、と伺いましたが?
(店) はい、本業のお弁当は勿論ですが、当社の「無料おもてなしサービス」を利用されている皆様
に大変喜ばれています。詳細は別途お問合せいただければと思いますが、安否確認の他、配達時間
の指定や、ちょっとしたお手伝いなど、私たちができるお手伝いをやらせていただいています。
先日の訪問時には電球交換を行って、「やはり、『ふれ愛』は頼りになるね」と大変喜ばれました。
食べ物の好き嫌いや食事制限のあるお客様にも、できるだけ個別に対応しています。
(包)・・・随分と、きめ細かな対応をされていますね。まさに「配食+サービス」という印象
ですが、配達と共に行うとなるとかなり大変そうです。
お忙しい日々の業務の中で、松葉さんが心がけていることなどはありますか?
(店) 配食弁当を利用されているご利用者様には、何らかの健康上の理由で外出するのが難しい方が多い
のですが、そのため自宅にこもりがちとなり、普段から人と会話をする機会に恵まれない方もおられ
ます。そこへ私たちがお弁当の配達に伺うと、皆さん最高の笑顔で出迎えて下さいます。
私が心がけているのが「孫が遊びに来た」ようなイメージ。サービス業本来としては間違っている
部分もあるかと思いますが、仕事を通してご利用者様と家族のような「ふれ愛」ができれば素晴らしい
な、と感じています。
「今日は写真撮影があるので、正装でお待ちしていました(笑)」
と爽やかな店長 松葉さん。
(包) 配食サービスという業務上、「見守り」という視点で感じることも多いと思います。
具体的にはいかがですか?
(店) ご利用者様の変化に気づくポイントは幾つもありますよ。例えば、いつも弁当容器を
きれいに洗って返却されていた方。再度お店で容器を洗う際に洗い残しの度合いによって
握力が弱くなってきたのかな?と感じることがあります。同じように、漬物を残すように
なった方には刻み食をご本人に提案すると共に、歯の具合を心配します。容器の返却忘れ
が急に増えた方には、認知症の可能性を危惧します。
これら現場で感じた情報は、必要に応じてご家族や担当のケアマネさんに情報提供する
場合もあります。「髪を切りましたね」等の日常の些細な変化にお声をかける中で、小さな
異常に早めに気付けたら良いですね。
最近も1日2回配達される方に「誰よりも貴方のことを頼りにしているわよ!」とお声を
かけていただき、とても嬉しかったです(笑)。
(包) 最後に包括支援センターへコメントをお願いします。
(店) 高齢の方が大勢おられ、包括支援センターの皆さんも大変な状況だと感じています。
私たちが地域における見守りの「目」になりますので、これからも一層連携を図って
いけたらと思います。よろしくお願いします!
<取材をふりかえって>
支援を必要とする一人暮らしの高齢者の方などにとって、配食サービス事業者の皆様は
安否確認を担う重要な存在です。包括支援センターにも、配食事業者様から「配達に伺った
が、本人の返答がありません。普段はインタフォンを鳴らすとすぐ出てこられる方なの
ですが・・!」といった見守り通報が月数回ほどのペースでもたらされます。
今回は事業者様の立場からの話を伺って、改めて日頃の連携の重要性を再認識しました。
松葉さん、ご多忙の中、取材のご協力ありがとうございました。